水波一郎著「霊的な小説2 弁慶の遺産:三種の神器の謎」

弁慶という人物は、史実による記録は僅かで、後の創作物よる印象が強いと思います。

個人的には、古事記に登場する須佐之男命が重なって見えます。

この本を読んで頂ければ、ただの暴れん坊ではなく、当時は争いごとの解決が戦であり、民衆までも巻き込んで多くの命が奪われる現実に、その意味を深く考え、何とかして解決したい、その一心で活動する姿は、まさに達人と言えるでしょう。

こうした弁慶を師と仰ぐ道正は、非常に人間的で共感する部分も多いはずです。

いつの時代も、支配者、権力者の思惑に翻弄されてしまうのが、武士や兵士、そして民衆達です。

国を司る人達に神々の力が流れること、これこそが救いにつながると弁慶は確信していたと思えます。

現代のように民主主義と言われるものでさえ、お金で動かせる世の中です。

資産家が覇権を握り、弱い国が飲み込まれてしまうのが現状です。

政治家も我利我利亡者ばかりでは、文明の衰退さえも感じます。

人が霊的な輝きを失ってしまえば、より動物的な生き方となってしまうでしょうし、霊的に進歩するなら動物でありながらも、霊的に高い部分の主張が強くなり、個人の集合体である社会も変化するのではないかと思えます。

日本固有の神道は、教義ではなく継承、伝承という側面を持っていると、このブログに書きましたが、霊的なことを主眼としたものでなければ、その意味や価値を失ってしまいます。

この本は価格的に高く感じられるでしょうが、300ページ以上あるので読み応えが十分あります。

実際の歴史書と比べて読むのも面白いでしょう。

霊魂学は難解ですので、こうした物語風であれば理解しやすいと思います。

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